[外伝] “Monochrome の北海道 1966-1996” そして Ektachrome の頃

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北海道旅客鉄道のゴマカシにマヤカシ

goryokaku.jpg

日本貨物鉄道の公表している資料によれば、五稜郭機関区の管理するEH800型電機には20の仕業が組まれている。すべてが五稜郭から青森信号場を往復する所謂「ひと山」運用に統一され、青函間を通過する18往復-36本の定期列車に、季節列車と臨時列車のそれぞれ1往復を含む40本列車がその行路である。
その函ダイヤを棒ダイヤに起こせば、運用順までは分からぬものの、それは17両の配置に対して使用16両/予備1両の需給と知れる。仕業番号順に見る限り、帰区から出区の時隔が開いていたり青森側で長時間の間合いが取られたりは、基本運用に含まれない上下11本の臨時列車運行時には仕業順の入替に変運用で対処する仕組みであり、たかだか160キロばかりの区間を往復するだけの運用には、なかなか合理的な考え方ではある。
ただし、臨時11本全ての同日運行は考えられぬにせよ、最繁忙期には配置全車が稼働しようし、基本運用でも予備の1両は綱渡り的とも云える。なるほど、臨時なり季節の運行が無い限りに、北海道旅客鉄道へ団体臨時運行用の貸渡も出来ぬ現状には、日本貨物鉄道が2012年2月に国土交通省交通政策審議会の陸上交通分科会鉄道部会整備新幹線小委員会に提出したヒアリング資料に、新型機関車約20両の導入を要するとあり、確かに、本年度内に3両の増備が計画されている。
けれど、現行の貨物列車設定ならば17両に1両の増備でも繁忙期とて需給は賄えそうな中での、しかも新幹線開業後とは不可解である。さすれば、この3両、本来には旅客列車用だったと解するのが自然であろう。2015年度内の製作を計画されながら、その後の情勢変化で2016年度に繰り越したのである。先の棒ダイヤに、2012年当時の運行に照らした定期2本に隔日交互運転の臨時の夜行旅客列車を追加してみれば、基本運用で使用18両の予備2両の推定が導かれて辻褄も合い、青函専用機関車を保有し運用する日本貨物鉄道は夜行旅客輸送の維持を前提に所用両数を算出し、国土交通省もこれを了承していたことになる。
国交省の承認とは、専用機関車の導入が整備新幹線に起因して発生する案件ゆえ、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定の利益剰余金を活用して、半分の助成、残り半分の無利子融資実行を指している。つまり、鉄道会社の調達経費は半額であり、しかも初期投資は回避される上に返済の減価償却分との相殺に自己負担は実質に生じない仕組みである。
この旅客用と思われる3両の調達に北海道旅客鉄道が応じたものかは、今のところ公表されていないので解らない。それを渋ったがゆえの2016年度へのずれ込みかも知れぬし、結果的に日本貨物鉄道が引き受けたものかも不明である。けれど、北海道会社が本州連絡夜行列車全廃の口実とした「新型機関車購入に予算が無い」は明らかに嘘とまでは云わぬにせよ、極めて不誠実と判る。少なくとも初期投資なくして導入出来た訳であるし、東日本旅客鉄道のE26系編成列車の隔日運行程度なら道内牽引の内燃機関車を貨物と共通運用に組み込めば、貨物鉄道も半定期的貸渡に応じられたことだろう。前記は「新型機関車を購入する気は全く無い」が正解である。

さて、それは何故なのか。答えは新幹線の貸付料算定にありそうである。国交省の報道・広報資料には、貸付料につきこのように書かれている。

(以下引用)
整備新幹線は、全国新幹線鉄道整備法に基づき、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が新幹線鉄道施設を建設し、その施設を借り受けたJRが運行しています。JRは新幹線鉄道施設の借り受けに伴い、同機構に対し、貸付料(施設使用料)を支払っています。
 貸付料の額は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法に基づき、「新幹線を整備する場合」と「(仮に)新幹線を開業しない場合」の収益の差を計算したものとなっています。
(引用ここまで)

北海道新幹線新青森-新函館間の貸付料は驚くなかれ年額1.14億円と算定された。繰り返すが¥114,000,000である。この恐るべき低額の根拠は、介在する青函トンネルの維持費を勘案すると、「新幹線を整備する場合」と「(仮に)新幹線を開業しない場合」に増収は考えられず、仕方なく後者の赤字額の減少分を収益差額と読み替えたものと思われる。ならば赤字額を減らした方が得策となるゆえ、新幹線が代替する昼行列車ばかりでなく夜行列車の全廃をも画策したには合点が往く。国交省がこの読み替えに至るのと、機関車発注のタイミングがリンクしなかった結果が、遅れて増備の旅客用3両とするのは穿ちすぎだろうか。

いずれにせよ、北海道旅客鉄道が昨今に公表する下心が見え見えな広報の類には、ゴマカシにマヤカシが随分と仕込まれているとした方が良さそうだ。一部には、「御説御尤も」と安易に同意する論調も見られるのだけれど、些かに思慮が足りぬとしか思えない。まずは同社には道民に誠実に向き合うよう要求するのが先決であろう。
これについては別途論じたいと思うが、同社が先頃に公表した「持続可能な交通体系のあり方」なる「作文」についても、本来に自らが国へ要求すべきを上下分離などを持ち出して自治体を恫喝、利用しようとするなどの不誠実さには、怒りを通り越して脱力する。以前にも書いたが、呆れたヤクザ企業である。

五稜郭機関区の区名札。EH800が装着するで無く、D52が在籍した当時のものである。懇意にしていた職員から未使用品を入手したのだけれど、それゆえに琺瑯製とは云え今となってはレプリカと変わりがない。字体だけが当時を伝える。


Photo by iPhone6s / Edit by PhotoshopCC

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Ektachrome E100系列を惜しむ

E100SW.jpg 
まだポジでも撮っている。
諸兄はご承知のことと思うが、ポジフィルムとは完全にノウハウの世界であり、発色のコントロールは、様々な撮影条件下で繰り返したテスト撮影のデータに対して本番からのフィードバックにて蓄積した経験と勘に頼ることになる。仕事写真ではとっくに不要と成り果てた技術なのだが、それこそ数十年を掛けて獲得してきただけに簡単に捨て去るのも口惜しく、趣味写真で楽しみながら温存を図るつもりなのである。
それを挫くように直面したのが、2012年のEktachrome消滅だった。それに至るKodak社の失態については、前に本編に書いたけれど、Webで見つけたニュースには茫然としたと告白する。そして、随分と逡巡した末に、業界標準とされていたFujichrome RDPのデータも持っていたことだし、それに乗り換えてでも撮り続けることにしたのだった。
RDPは、E100系列と同じくナチュラルに発色の整えられた感材なのだが、明らかに発色傾向はEktachrome系とは異なり、それは一言でいえば「青い」のである。印刷物になってしまえば差異は分からなくなるけれど、写真屋が原版をみれば瞭然としており、日本の製版(のプリプロダクション)はそれを基準にしていた。素人目にも同じ青空を撮り比べるとはっきりと区別出来るのだった。
まったくの余談だし、もはや昔語りではあるけれど、敢えて僅かに青味側へ転ばせるなら、RDPのノーマルよりもE100系列をケミカルの調合で処理した方が素晴らしく、Kodakを標準感材としていた某出版社では取引先の現像所に同処理を指定した自現機を専用に稼働させていたほどだった。乳剤と現像がマッチした時の4×5などの原版の美しさはうっとりするほどと書いておく。
青系発色は慣れてしまえばそれまでのことなのだけれど、どうしてもRDPでは得られぬのは、雨天下や降雨直後を撮っての鈍色の表現である。SWや後継のGXのウォームトーンと呼ばれた感材なら尚更のことで、きわめて個人的趣味ゆえと承知してももどかしい。

ポジでも撮り続けるには、単に銀塩写真機を機材に加えておけば良いでは無く、ディジタルなら全く不要のLBやらCCのフィルタの必要最小限をセットから外せないことになる。これには、あれやこれやのフィルタワークを悩みながらも楽しむ気でいるので構わぬとして、ディジタル機も併用していると、もう一つ楽しみが増えた。曇天や降雨・降雪下での日出直後なり日没時間帯には勿論のこと、晴天でも日陰部分の発色にLBの装着を検討せねばならず、似たような天候でも条件次第で大きく異なることもあるミレッド変換値に、天空を仰いでは悩むところなのだが(機材重量を増やしたくないのでカラーメータは持って往かない)、ディジタル機のホワイトバランス設定機能を用いれば、答えの分かってしまうのである。片や純粋の科学反応とデータ出力ではロジックが全然違うので乱暴ではあるが、不思議と近しい答えが出る。写真学生の頃の露出当てよろしく、フィルター当てが楽しめる。

E100系列に共通してハイライト側への僅かな階調のセパレイションを認めて定番にした「ISO160で撮影しての1.5EV増感」は、RDPでのテストでは意味が無いと知れた。それでも、ISO160に露出勘慣れしていることに、少しでもシャッタ速度は稼げた方が良いので引き継ぐことにしたものの、CR-56プロセスは忠実に2/3増感を指定している。

1996年のE100SW発表時のファクトシートとパンフレット。期せずしてEktachromeフィルムの掉尾を飾ることとなってしまったE100系列だけれど、それには相応しい感材には違いなかった。それにしても、あの鈍色。





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情趣、殺がれる

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カメラも持たずに線路端に立った日々から数えると、道内鉄道の半世紀あまりを眺めて来たことになる。
それが、趣味的に「愉し」かったのは、せいぜい70年代後半までのことで、1980年10月改正から此の方は情趣の殺がれるばかりと感ずる。特に近年はその思いが色濃い。
機関車屋にしてみれば、貨物輸送システムの一大転換だった1984年2月改正や、国有鉄道の民営化を見据えた1986年11月改正に打撃を受け、特に後者以降に函館山線や釧網線、釧路以東の根室線などには足を運ぶことは無くなったほどだが、そればかりではない。
全道に及んでいた札幌・函館連絡の急行列車網が消滅すれば、列車設定の妙味は薄れ、3両組成まで現れる特急列車の短編成化には、長距離輸送に君臨した優等列車の面影も無い。ルーラル線区の過去帳入も然り乍ら、そのひとつ羽幌線あたりでさえ編成を組んで運行していた普通列車も、今や気動車単行が通途となっては何をか言わんやである。編成運転は鉄道だけの特質なはずであろうに(海外にはトレーラを連ねたトラック輸送の例はある)。
一週間から10日の道内歩きには、機関車に牽かれた旅客に貨物列車、長大編成の優等列車から郵便荷物の合造車を組込んだルーラル線区の列車までが、一通りフィルムのコマに収まったものだが、本線系統にも及んだ単行気動車は勿論のこと、長編成の客車列車が行き交った札幌圏も、都市圏輸送と云うには物足りない3両組成程度の電車に置替られては写欲は沸かぬと云うものだ。
1986年の改正に呆れ、一度は止めてしまった渡道の再開は(事実87年には全く足をを踏み入れていない)、88年3月に運行開始の本州直通特急寝台の魅力に勝てなかったからなのだが、以降の四半世紀はこれに加えて同じルートを疾駆する高速貨物ばかりに通い、道南を出るのは常紋の重連臨貨に狩勝や音別の海岸での根室線貨物くらいのものだった。

営業体制近代化の名目で70年代初頭から推進された合理化策では、実に多くの運転・営業の現場から要員の姿が消えた。
旅客掛駅員のアナウンスに見送られ、助役の合図で発車した列車は、構内の外れで信号扱所職員の換呼を受け場外へと進出して往ったものだった。そして、閉塞の施行を受けた次駅を当務駅長に見守られながらゆっくりと通過し、さらに次駅へと加速した。停車駅に至れば駅名を繰返す到着アナウンスの響きに、運転助役の待つプラットホームを減速し、そこでは弁当の立売りが短い停車時間に備え、駅に拠っては荷物や郵袋を積み降ろす要員も待機すれば、食堂車の停止位置あたり線路側では給水要員がホースを両手に臨戦態勢にもあった。
その全体システムのほんの一部、旅客輸送の旅客が眼に触れる範囲だけでも、巨大な装置産業であり労働集約型の産業と理解出来た鉄道は、それゆえに趣味の対象として有意だったのである。多くの要員を車窓に車内に認めた旅客は、それだけでも見守りの安堵感を得られたことだろう。
現場を遠く離れた指令所からの運転の遠隔操作には、今や利用者の眼に触れるのは乗務員くらいのもので、札幌ですら、それも自動改札を抜けてしまえば要員を認めることは無い。降り立つ先は特急が停まっても要員無配置の例もある。何やら実体の見えぬブラックボックスを運ばれる如きには鉄道の魅力も半減と云うところである。
姿を消したのは鉄道の要員ばかりではない。今度は、列車内から車内販売が、駅からは汽車弁屋に立食い蕎麦、キオスクの売店の撤退が続く。これも旧い鉄道屋には多いに趣を欠く事態である。
半世紀の大半に陸上交通の主役交替の様を眺め続けたには、趣味もつまらぬと云うものだ。

実質札幌からの直通だった441列車が東端の遅い朝に到着する。客車から立ち上がるスチームから「かきめし」の売り子が立ち現れ、ここで対向する234Dへの旅客が跨線橋を降りては斜光線を遮る。1979年の厚岸の情景。趣味に面白い鉄道とはこんな姿だった。
これは、[番外編 1] 厚岸 (根室本線) 1979 の前カット。そこでは記事内容から切詰めた露出を弁当の売り子と知れるような現像としたのだが、本来にはロウキーな仕上げがセオリーだろう。

[Data] NikonF3HP+AiNikkor35mm/F2 1/500sec@f8 Fuji SC42filter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopCC on Mac.

右翼政権のウソにマヤカシ

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1970年代初頭には早急な手当の叫ばれながら、21世紀の現在に至るまで何一つ改善されることは無かったのが国家財政の健全化である。乱暴な言い方をしてしまえば、歴代の為政者達による対策やら施策が核心に踏み入れること無く、その全てがそれを名目とした政財界の権力温存に終始した結果と云える。国鉄の分割・民営化などその最たるものであろう。国民の公有財産であったそれは、国家財政の改善に一切寄与すること無く財界の手に落ちた。これを「泥棒」と呼ばずして何をそう呼べば良いのか。
そして、その泥棒が公然と追い銭を要求しているのが、現在の北海道旅客鉄道であろう。日高本線の復旧とその後の運営は道や沿線自治体の相応の負担がなければあり得ぬと恫喝している件である。この泥棒一味の手下へは余程頭領の教育が行き届かなかったものか、筋違いも甚だしい。一件は国に、より正確にはかつてにも現在にも財界の犬である政権与党に請求すべきであり、この犬はそれに応えねばならない。
少し長くなるけれども、国鉄の分割・民営化関連法の採択の迫った第107国会における1986年11月28日の参議院「日本国有鉄道改革に関する特別委員会」議事録から引用する。質問者の赤桐操は当時の日本社会党参議院議員、橋本龍太郎は現在にも存続する犬政党所属の運輸大臣であった。

○赤桐操君 次は、私は災害の関係、事故対策について以下お伺いをしてまいりたいと思います。
 新会社の経営内容では、大規模災害が起きた場合におきましては復旧費用の用意ができない、そのために結果的には廃線に追い込まれることも考えられる情勢にあるようであります。少なくとも、このような場合にこうした問題が発生しないような対策を必要とすると思いますが、考え方を明らかにしていただきたいと思います。
(以下事故対策質問は省略) 
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回の新会社の収支試算を行うに当たりまして、国鉄における過去の数年間の災害復旧費の実績に基づいて災害復旧に要する費用を織り込んで積算をしてまいりました。ですから、私どもは過去の平均的な実績規模の災害に対する備えというものは経費の中に盛り込んでおります。また、防災上の観点から災害を未然に防止し、あるいは災害時の障害を最小限に食いとめるべき効果的防災対策を講ずるための工事費というものも設備投資額の積算に盛り込んでおるわけでございまして、今委員が御指摘になられましたような状況の中から路線の廃止が行われるようなことは私はないと考えております。(以下事故対策答弁は省略)

災害復旧ばかりでは無い。公共輸送機関として地域に最低限の輸送を提供する搬器すら保有出来ないとし、都市間輸送においても資金の適正配分と称してサーヴィスを低下させ、姑息にも路線維持の世論操作まで策動する北海道旅客鉄道の現況は、国鉄解体の議論の中で多くの識者が予想、かつ指摘したことが現実となったに過ぎない。
国有鉄道の分割・民営化とは、財界とそれに結託した時の中曽根右翼政権による労働運動の弱体化が本質であったのだが、それには国民財産の公然の収奪による利潤装置化に、加えては数々の利権を生じたから、識者の議論など相手にする気は毛頭なかったのである。国会答弁におけるウソにマヤカシは枚挙に暇が無い。

この右翼政権に数を背景とした傍若無人を許したのは、1986年7月6日にそれが策略的に執行させた衆参同日選の結果に他ならない。ここで、件の犬政党は衆院で300議席、参院で143議席(非改選含む)を得て大勝、これにて国有鉄道の解体は決定的なものとなったのだった。
この選挙での日高本線沿線を含む当時の衆議院選挙区北海道4区を見てみると(但し、中選挙区制度下のこと、北海道4区とは日高支庁から胆振・空知支庁管内を含む広大な選挙区ではあった)、ここでも、定数5に対する改選前の野党3議席は、この同日選で犬政党に逆転を許してしまっていた。ウソ・マヤカシに立ち往生する日高線の現況の限りに、当時に投票行動を行った今は50歳以上の有権者たちの責任は重いと云わざるを得ない。保守勢力の野望に加担した利権の亡者どもに騙されたツケが30年を経て回って来たことになる。言うなれば、自業自得であろうか。
だいたいに右翼政党など碌なものでは無い。またも、アベ極右政権の下で謀略的同日選の囁かれる昨今、クニの進路のこと、二度とイヌどもなぞに騙されてはならない。

カットは、苗穂東方での37D<スーパーとかち7号>。苗穂 (函館本線/千歳線) 2009 の25分後の撮影。不安定な天候下の光線は劇的に変化する。
鉄道高速化の理に叶った車体傾斜装置を装備したキハ261系内燃動車は、今やそれを殺して運用されている。まして、本年度からの増備車は搭載自体していない。その走行性能は1986年のキハ183-500番台系列と大差なく、北海道の都市間輸送は30年を退化したことになる。呆れてモノも云えぬとはこのことだ。

[Data] NikonF5+AT-X300AFPRO300mm/F2.8D  1/250sec@f8 Fuji LBA1 filter Ektachrome Professional E100G [ISO160 / 0.5EV push] Edit by PhotoshopCC on Mac.

道南周遊乗車券

shuyuken.jpg

島内で完結する北海道は周遊型の観光に適しており、そこを自由乗降とした乗車券は、戦前に制定の遊覧券でも戦後に同様の制度として復活した周遊割引乗車券制度下の均一周遊券でも最初に発売されている。
1956年が初年度の周遊乗車券設定は成功裏に終わり、6月1日から10月30日までの季節発売は翌年には通年に改められ、次いでは九州/四国/東北と年毎に設定地域も拡大された。60年代から70年代には、高度成長にともなうレジャー指向の拡大とも相俟っての北海道旅行ブームを引き起こし、カニ族と呼ばれた旅行者を全国から呼び寄せたのも、これの存在によるところが大きい。
国鉄旅客局による1983年度の統計でも、北海道/道南/北海道立体の各均一周遊券利用者の合計は9万9千人とある。利用者の最多は北陸均一周遊券の16万人なのだが、その自由周遊区間の設定から大半はビジネス利用と思われ、北海道の「周遊旅行」の需要は引き続き旺盛だったと見るべきだろう。
これ以降漸減傾向に在ったにせよ、90年代に至ってもそれに一定の需要は存在し続けたゆえ、1998年4月1日に制度を改廃した「周遊きっぷ」においても北海道と道南を引き継ぐ「北海道ゾーン」に「札幌・道南ゾーン」が用意されたものと解する。発売の4年後に至って北海道ゾーンに他に例のない10日間用の追加されたのもそれゆえであろう。けれど、主に制度を引き継いだと見られる一般用均一周遊乗車券の第3種(所謂ニューワイド周遊券)のD券に比すれば、5日間用でも2倍近い価格設定は大幅な値上げであった。
周遊きっぷは旅客鉄道各社の思惑の相違もあって暫時縮小を続けた末に2013年3月31日を以て全廃される。最後まで残された13の周遊ゾーンの内、5個のゾーンが全道を始めとした北海道内だったことは、北海道旅客鉄道は道内を周遊適地との意識を保持し、集客を意図し続けてもいた証であろうが、この制度が失われれば、後は発地側旅客鉄道会社の設定に頼る他に無いながら、首都圏を擁する東日本旅客鉃道による後継券である「北海道全線フリーきっぷ」に「みなみ北海道フリーきっぷ」は、均一周遊乗車券の系譜を引継ぐことを一義としただけの使えない企画券であった。コストパフォーマンスのさらに低下した上に、みなみ北海道フリーのたった3日の有効期間には、北海道「周遊旅行」の終焉を思わせた。

しかしながら、道内自治体の思惑はまったくに異なる。北海道新幹線の函館延伸を控えては尚更に、その開業効果を道央圏へ、さらには全道へと波及させるべく二次交通の整備と周遊型と滞在型を組み合わせた観光ルートの構築に熱心である。東日本旅客鉃道と北海道旅客鉄道にも新幹線開業には新たな周遊企画券の設定を期待したのだけれど、「全線」に「みなみ」すら廃止して全面撤退の方向である。そう云えば、自治体側の提案するモデル周遊はバスやタクシーに貸し自動車の利用ばかりが想定されて鉄道は登場しない。提唱される地域内での周遊には、最早不便に過ぎて使えぬと云うことなのだろう。地域間の移動にせよ、函館から全道各地へは航空網の充実が声高で、ここでも在来線鉄道の影は薄い。
旧い鉄道屋も、今や鉄道による全道周遊が困難なことは十分に実感していて、新函館までの新幹線とほぼ同額にて釧路や旭川に到達出来る航空機利用でピンポイントに渡道を続けることになりそうだ。難儀な時代である。

1972年の年末に渡道した際の道南周遊券(正しくは北海道均一周遊乗車券第2種)。
全道券の表紙付は幾枚も保存しているが、道南券のはこれしかない。この旅は、往き帰りに会津詣に仙台市電、陸東・石巻線と欲張った関係で仙台市内発着を現地で購入している。そこからの7日間と云う有効日数も丁度良かったのである。
すっかり黄ばんだペイジは、その旅に使った交通公社版北海道時刻表の73年1月号。主要列車編成表を読めるようリンク画像は大きめにしてある。

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